Anthropic公式のSkillリポジトリには、Word、Excel、PowerPoint、PDFを操作するためのドキュメント系Skillが収録されています。この記事では、そのうちdocxとxlsxを実際に動かし、日本語の指示だけでファイルが生成できるかを検証しました。結論として、どちらのSkillも短い日本語の指示から完成形のファイルを直接生成でき、文字化けなどの問題もありませんでした。一方で、生成物そのものではなく検証用の周辺スクリプトに実行環境依存の不具合が見つかりました。

どんなSkillか

AnthropicはGitHubで公式のSkillリポジトリ(https://github.com/anthropics/skills)を公開しています。実際にリポジトリを確認したところ、Claudeの能力を業種や用途に合わせて拡張するSkillの実例が並んでおり、その中にドキュメント生成向けのSkillとしてdocx、xlsx、pptx、pdfの4つが含まれていることを確認できました。リポジトリの説明では、これらのSkillはClaudeのドキュメント生成機能を裏側で支えている実装をリファレンスとして公開したものとされています。

この作業環境には、公式のdocx Skillとxlsx Skillがあらかじめ導入されていました。今回はこの2つを実際に動かし、指示から成果物までの流れを一次体験として記録しました。

実際に使ってみた

まずxlsx Skillを起動し、次のように指示しました。

3行×3列の架空のSkill検証記録表(Excelファイル)を作成してください。
列: 検証日, Skill名, 結果。
行: 2026-07-30, xlsx, 成功 / 2026-07-30, docx, 成功 / 2026-07-30, pdf, 未検証。
ファイル名はskill-verification-log.xlsx。

Skillが返してきたのは完成ファイルではなく、作業手順そのものでした。openpyxlというPythonライブラリでセルにヘッダーと3行のデータを書き込み、フォントや列幅を整える、という具体的な実装指示が提示され、その指示に従ってコードを書いて実行すると、指定した見出しとデータが入ったExcelファイルが生成されました。日本語の列名(検証日、Skill名、結果)も文字化けせずそのまま反映されました。

続けてdocx Skillを起動し、次のように指示しました。

1ページ程度の簡単なWord文書「Skill検証メモ」を作成してください。
内容: タイトル、検証日(2026-07-30)、検証対象(Anthropic公式docx/xlsx Skill)、所感を2-3段落。
ファイル名はskill-verification-memo.docx。

xlsx Skillとの違いがすぐに分かりました。docx Skillは新規文書の生成にopenpyxlのような単純なライブラリ操作ではなく、docxというnpmパッケージを使ったJavaScriptコードの実行を求めてきます。パッケージがグローバルに入っていなかったため、その場でインストールしてからスクリプトを実行し、見出しと本文2段落からなるWord文書が生成されました。日本語のタイトルや本文もそのまま反映されています。

意外だったのは、Skillが用意しているvalidate.py(生成した文書を検証するスクリプト)を実行したところ、エラーで止まった点です。エラー内容は「cp932コーデックがバイトをデコードできない」というもので、文書のXMLファイル自体は正しいUTF-8の日本語データだったにもかかわらず、検証スクリプトがWindows既定の文字コード(cp932)でファイルを読もうとして失敗していました。実際にXMLの中身をUTF-8で読み直すと、日本語の見出しと本文はすべて正しく格納されており、文書ファイル自体には問題がないことを確認できました。生成物は正常でも、付属の検証ツールが日本語Windows環境を想定していないという、実運用でこそ気づくつまずきでした。

良かった点

  • 指示文は一段落程度の日本語で足り、列構成やファイル名を書くだけで意図通りの構造が反映されました。
  • xlsxとdocxのどちらでも、生成された日本語テキストに文字化けが一切なく、そのままExcelやWordで開ける形式になっていました。
  • Skillが単なるテンプレート出力ではなく、その場でコードを組み立てて実行する形になっているため、列数や段落数を変えるような細かい調整依頼にも対応できる構造だと分かりました。

思ったようにならなかった点

  • docx Skillは新規文書生成にnpmパッケージのインストールが必要で、xlsx Skillより準備の手間が一段階多くありました。
  • docx Skill付属のvalidate.pyが、日本語を含む文書に対してcp932デコードエラーで落ちました。文書ファイル自体は正常でしたが、検証ステップを鵜呑みにすると「エラーが出た=失敗」と誤認しかねない点は注意が必要です。
  • 今回はpandocが未導入のため、生成後の文書をテキストとして読み直す確認は別の方法(XMLの直接読み出し)で代替しました。標準の確認手段がすべて揃っているとは限りません。

向いている使い方

今回の検証から、これらのSkillは定型フォーマットの業務文書を素早く量産する用途に向いていると感じます。検証記録表や簡易メモのように構造が単純な文書であれば、指示から完成ファイルまでの手数が非常に少なく済みます。一方で、日本語Windows環境ではSkill付属の検証スクリプトが正しく動かない場合があるため、生成物の正しさを最終的に確認する手段は別途用意しておくのが安全です。

検証環境: Claude Code+公式Skill導入済み環境。検証日2026-07-30