「うちのSkill」は、運営元が実際に社内で使っているSkillの中身を紹介する連載です。第2回は、成果物を作った本人以外に採点させる仕組みを全部署に統一で持たせている/reviewを取り上げます。

AIに成果物を作らせ、そのまま同じAIに採点させると、評価が甘くなりがちです。作った理由や意図をすでに知っている状態で振り返るため、粗が見えにくくなるのは自然なことです。運営元では、この問題に対して「作った人と評価する人を分ける」という単純な原則を組織のルールにし、Skillとして各部署に統一の形で配布しています。それが/reviewです。

生成と評価を別人格に分ける

Customer Serviceを除く全部署に、クリティカルレビュー専任の担当を置いています。成果物を作ったメンバー自身ではなく、この専任担当が批判的な視点で精査し、その結果をディレクターに報告します。ディレクターが確認し、必要なら担当者に修正を指示するという流れです。作業したAIがそのまま評価まで担うと、意図の正当化が入り込みやすくなります。役割を分けて、評価だけを独立したコンテキストで行わせることが狙いです。

評価はA〜Dの4段階

評価スケールは4段階に固定してあります。SKILL.mdの記載は次の通りです。

| グレード | 意味 |
|---|---|
| A | 高品質・承認推奨 |
| B | 軽微な修正で承認可 |
| C | 修正後再レビュー必要 |
| D | 根本的見直し推奨 |

段階を固定しておくことで、レビュワーごとに評価の粒度がばらつくのを防いでいます。「悪くない」「まあいい」といった曖昧な表現に逃げず、必ずどこかのグレードに当てはめて報告する仕組みです。

指摘は重大・中程度・軽微で分ける

問題点を並列に列挙するだけでは、担当者はどこから直せばいいか分かりません。そのためレビューでは指摘の重大度を分けて報告する形式を取っています。加えて、批判一辺倒にならないよう良い点も必ず書くこと、指摘には改善案を添えること、根拠と論理に基づくことを原則としています。「なんとなく質が低い」という感覚的な指摘は認めていません。

評価基準そのものを毎回議論しない

レビュー観点や報告フォーマットを担当者ごとに毎回考えさせると、部署間で基準がぶれます。運営元では、評価基準と報告フォーマットをSkillとして固定し、全部署が同じ物差しでレビューする形にしています。評価対象は成果物の品質だけではありません。組織の公開ルールとの整合や文章規範の適用痕跡、成果物の置き場所やファイルの後始末といった観点も、レビューの共通チェック項目として組み込まれています。品質評価と運用ルールの遵守確認を1つのレビュー行為にまとめることで、レビュー担当が見るべき範囲を毎回定義し直す手間をなくしています。

自分の組織で真似るには

  • 自己採点をさせない。成果物を作ったAIやメンバーとは別の主体に評価させるだけで、指摘の精度が上がります。同じAIでも、評価用に別のコンテキストで起動させれば効果があります。
  • 評価基準と報告フォーマットをSkill化する。グレードの段階、指摘の重大度分け、良い点も書くという原則を固定して配布すれば、担当者や部署が変わっても評価の粒度がぶれません。
  • 品質だけでなく運用ルールの遵守もレビュー項目に含める。成果物の出来栄えとルール違反のチェックを別々の作業にせず、1回のレビューでまとめて確認できるようにしておくと、抜け漏れが減ります。